この紙芝居について
お金の話や道徳を教えるのは難しいものです。
一円でも、十円でも拾ったら交番や職員室に届けることも正しいことでしょう。しかし、水の中や、土の中から見つけた一円玉や五円玉を綺麗に拭いて、「やったあ!」と嬉しそうに笑顔を見せる幼子に、「よかったわね。大切にするのよ」と一緒に喜んであげられる心も親には必要です。
幼子の心は純粋です。お札を見つけたり、財布を拾ったら子供は儲けた等と考えるよりも、親に、「これあったよ」「これ拾ったよ」と言って走って来るはずです。
そういう時に、物事の範囲を教えてあげることだと思います。子供が親に喜びや悲しみを率直に話をすることが出来る環境を作ってあげたいと思います。
私はこの中で一円や、十円を交番に届けさせるというガチガチの規則とは別の道を選ばせて頂きました。
どう考えるかはそれぞれの親の生き方でよろしいかと思います。
小さな子供までが携帯電話を持ち、メールを打つ時代です。顔を見て、コミュニケーションをとることがますます難しい状況です。
「三つ子の魂百まで」といいます。
幼い子供に親が出来る未来のためのプレゼントは、「愛」・「感謝」・「勇気」・「気遣い」という、人生において大切な心を育てることです。
カードと携帯で支払いを済ませる、便利という名の浪費社会です。
現金をやり取りすることで、お金のありがたさと怖さも知ります。
後から送られてくる請求書では、お金の大切さは実感出来ないでしょう。
メールも電話も、一方的に自分の意見を言い切ることが多く、都合が悪ければ電話に出ない、切ることも出来ます。
親子が肌を触れ合い、目を見つめ合って話をし、叱られてもすぐに仲直りが出来る。幼児期の貴重で短い日々です。
この六話は、率直で素朴なお話です。ト書きはできるだけ省略してあります。作者のひとことを理解して頂き、紙芝居をなさる方が、それぞれの考えや、愛情を交えてお話して頂くことが理想です。愛情の大切さ、お金のありがたさの会話のお役に立てれば幸いです。