東京銀座で金融コンサルタント会社を経営する室井忠道さんが、このほど『天使のメッセージ -もう生きているのに』(ON BOOKS刊)という詩集を出した。借金取りに追われて行き場のなくなった夫婦の姿を幼い子供の目からとらえた叫び、生まれてくるはずの自分の命を喜んでもらうことができない胎児の声、夫婦でパチンコに行っている間に、炎天下の露天駐車場で密閉された車に置き去りにされた幼い兄妹の叫び。親を選んで生まれてくることのできない子供たちの悲痛な叫び声が記されている。
室井さんは言う。「30年以上、私がお金と人間とのかかわり、それも千円から、五十万円くらいまでの身近な金額の問題で、何百という家族と出会ってきました。いつもそこには幼い子供達がいました。不安そうな目とおびえた表情。母親のスカートの裾をギュッと握って、涙をこらえて私を睨んでいる子供。朝ごはんを食べさせてもらえず、ふるえながら玄関に立っていた少年。寝たふりをしながら、玄関のそばの部屋で親を待つ幼い姉弟がいました。この子たちには何の罪もない、責任もない。この子たちも言いたいことがあるはずだ。この子たちのささやかな望みを聞いてあげたい。そんな気持ちが溜まり溜まって、出来たのがこの本です。」(中略)
室井さんは、この本を英訳し米国で出版したいという夢を抱いている。カード社会アメリカの陥穽(かんせい)を子供の視点から描く異色の詩人として脚光を浴びる日がくるかもしれない。